風邪の効用
風邪をひいて熱が出ているところです。
ここしばらくの活元瞑想では、これまではなかった深い動きがよく出てきている、そういう波が来ているのを感じておりました。
数日前の活元で、ちょうど寝不足も続いていたのでそうした疲労が弛んで出てきたこともあり、風邪を引きました。
一般の認識、医療や治療に携わる人においても、
風邪は悪いもの、ひくことは良くないとされているものがほとんどではないかと思いますが、
野口整体においては、風邪は上手に利用すべき健康法であります。
なんで風邪をひいてしまうのか、
抵抗力が弱っているから。
それで間違いはないのです。
疲労の蓄積などで、働きが鈍っているのです。
そこに邪気が入り込んで、今度はそれを身体がやっつけ追い出すために風邪の症状というものが出るのです。
熱が出るのも痛みが出るのも、咳や鼻水が出るのも、お腹がおかしくなるのも、
入り込んできた邪気をやっつけて追い出すための機能が活発に働くが故に起こっているものです。
抵抗力が弱っている時というのは、
そうした機能の働きが鈍っている時です。
鈍っているから抵抗できずに邪気を取り込むわけだが、
取り込むことで、今度はそれらの機能が活発に働き出します。
邪気が入ってきてしまった、これはいけないということで、
身体が、持っている力を総動員させてやっつけ追い出すために働き出すわけです。
このときに、
永いこと機能が鈍ったままになっていたものや、サボっていたようなものまで、
追いたてられて尻に火がついて働き出すのです。
そうして、ただその時の邪気を追い出すだけではなく、
サボっていたのまで叩き起こして行くように仕向けるのが、
風邪を利用して身体を強くするという健康法としての利用です。
せっかく動き出した機能を、より良く活発に働けるよう促し手助けするのが上手な経過であり、
そこのところが大事であるとして野口先生は指導されております。
人間丸ごと、人生でも同じです。
サボり癖がついている人は、追い詰められて尻に火がつくまでなかなか動けないという人もいるでしょう。
サボって働きが鈍っているものは、
外部からの刺激でひっぱたいて叩き起こされないとなかなか動かないものもあるのです。
野口先生は、火事場の馬鹿力とか、溺れるものは藁をも掴むとかの話を引き合いに出しておられるのだが、
追い詰められてギリギリにならないと働いてこない、本領発揮してこないものがあるのです。
私は今のところまだ縁がないが、
仏教の修行でも、段階ごとに断食行を行うよう決められているものも多く見られます。
飢餓状態になるまで動かない機能を、そうして呼び起こす目的が一つにはあるだろうと思われます。
身体機能でも、心の働きでも、
そうして使われることなく眠らせている力を、
普段的に存分に使えるようにしてゆくべきとするのが、野口整体の考え方であります。
本気で生きる、
全力で生ききるという、
全生思想の元にあるものであります。
浄化行を永く続けているとよく分かってくるのですが、
身体が変わって行こうとするとき、
古く内在させていたような邪気を吐き出そうとするときにも、
身体が自らの要求でそのきっかけになる邪気を取り込むということもあります。
鈍っていたり、未発達であったりする免疫系統の働きを喚起させるために、
わざわざ毒になるものを取り込んで、自分の体内で薬をつくる働きを活発にさせるという、
そんなことまで身体はしているのです。
心身の働き、
生の設計というものは本当に奥深い。
悪い頭で考えたのでは到底できないようなことをやっている。
身体に備わる知性の方が、遥かに賢いものであります。
一休